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雇用か訓練か  杉並区是正勧告

7月末、杉並区と組障害者団体連合会が労働基準監督署から是正勧告を受けました。区が委託し連合会が受託した清掃業務に関し、双方は「訓練就労」と位置付けていたが、監督署は「実際は労働である。」と判断した。時給500円~600円という最低賃金の約半分ほどで、およそ10年間働いていたといいます。
「労働」か「訓練」かの定義づけとは別に、今回の件で思ったことは、雇用する側に「我々は、彼らの面倒を見てあげている。」「通常の工賃からみれば割の良い仕事を与えてあげている。」という意識がなかったのかということ、そして、家族も本人もこの処遇に疑義を感じなかったのか、それとも言い出せる雰囲気ではなかったのか、また、「比較的いい仕事をもらえるだけでもありがたい。」と感謝していたのだろうか?等々、様々なことが想起されます。
障害者自立支援法から障害者総合支援法に移って13年。社会の意識は徐々に変化して来てはいるが、一方で制度改正の度に事業所経営は厳しくなって来ているという声はよく聴きます。共生社会の実現へ、まだまだ遠い道のりが続きます。

 

インクルーシブ教育について(国連の日本政府への勧告)

障害者と健常児がともに学ぶ「インクルーシブ教育」を掲げる国連の障害者権利委員会が九月、障害者権利条約に基づく日本政府への勧告を発出。障害児を分離した特別支援教育を中止し、普通学級への就学を認めるよう求めた。

だが、永岡桂子文部科学相は「障害のある子どもとない子どもが可能な限り、ともに過ごせる条件整備と、一人一人の教育的ニーズに応じた学びの場の整備を両輪として取り組んできた」と強調。特別支援学校や特別支援学級の在籍児童・生徒数が増えていることに触れ、「特別支援教育の中止は考えていない」と明言した。

文科省の担当者は特別支援教育について、普通学級に比べて教員の配置が手厚く、きめ細かな指導ができるため「保護者のニーズが高い」と説明する。実際、保護者からも「うちの子には特別支援教育が適している」との声を聞く。少子化が進む中でも特別支援教育を受ける自動・生徒は増えており、四十五万人に上る。

では、国連は何を問題視したのか。日本が特別支援教育の体制を充実させればさせるほど、インクルーシブ教育から遠ざかることだ。今は真逆の分離教育が行われている側面が否定できない。「特別支援教育は障害者が大人になってからも、社会から分離されることにつながる」と指摘する。

小学校や中学校に通う年数は限られているが、そこで築いた友人関係は一生続く場合もある。インクルーシブ教育には、障害に対する地域社会の理解が進む効果も期待される。

東京新聞10月21日『視点』より  (要約)

Nothing about us,without us.

    私たち抜きに、私たちのことを決めるな。

 

—  障がい者の権利に関する条約  —